雑記帳

硝子越しに見る円形の世界

初めて双眼鏡を覗いた時の感動は、現在も鮮明に記憶しています。
もっともその感動の前には、両手に汗をともなう困惑がありましたが。

眼幅を調整して視野を一つの円形にするのにまず戸惑いました。
二つの円形を意識するあまり、それぞれを見過ぎていたのだと思います。
視度調節環を回してピントを合わせる(IFでした)のは問題なし。
しかし、構え方と覗き方が悪かったようで、ブラックアウトしまくり。
コツをつかんだ頃には、自分が見ようとしていたものが何であったのか、
そんなことはどこかへ完全に吹き飛んでいました。

やがてどうにか見えてきたのは、妙にゴワゴワした灰色の壁。
「これは何だ???」見たことのないものに首をかしげることしばし。
「ひょっとして尻(ケツ)か?尻(ケツ)なのか?いや、尻(ケツ)だ!」
・・・汚い言葉で申し訳ありません。
そうです、私が見ようとしていたものはサーカスのゾウだったのでした。
肉眼で見ていたゾウとのギャップが大きく、想像を超えていたため、
同じものとは到底思えず、ただただ「すげぇ~!」を連発していました。
まだ私が小学生の頃で、30年以上も昔の話です。

残念ながらどんな双眼鏡だったかは、まったく記憶にないのですが、
50mmクラスで7倍か10倍くらいのサイズだったような気がします。
ただし、ズームではなかったはずで、意図したわけではありませんが、
その点双眼鏡の取っ掛かりとしては正解だったのかもしれません。
見えのレベルはさておき、感動をともなってちゃんと見えたのですから。

この時から20年以上が過ぎ、縁あってこの会社に身を置くこととなり、
再び双眼鏡を持つようになったのもあの感動があったからこそです。
双眼鏡を覗くことで新たな感動が増えていくのは楽しいものです。
ごくごく日常の風景ですら、双眼鏡といういくつかの硝子を通すことで、
まったく違う姿(本当の姿とでも言うべきでしょうか)を見せてくれます。

朝日に煌めく川面、
茜に染まる群雲、
風に揺れる草花、
雨に打たれる道路、
樹々に戯れる野鳥、
夜空に輝く星々(花火も素晴らしいそうです)・・・

双眼鏡を見たい方に向けるだけで、それらがダイナミックに変化します。
肉眼では見ることの難しい「動」の部分が、はっきりと見えてくるのです。
硝子越しに見る円形の世界は、非常に立体的で躍動感に満ち溢れており、
そこには生きている空間~三次元の世界~が存在しているのです。

この感動をより多くの皆様に是非とも味わって頂きたいという思い、
これが当社の双眼鏡に対するスタンスの根底にあります。
当たり前のように良く見える双眼鏡によってその裾野が拡がれば、
双眼鏡をほんの少し覗くことで見つけられるたくさんの感動によって、
日々の生活により多くの潤いをもたらすことができるのではないか、
そして当社がそういった商品を皆様にご提供することによって、
微力ながらもその一助となるのではないかと常々考えております。

双眼鏡に過度の高倍率やズームは必要ありません(新聞でよく見ますね)。
双眼鏡で見る、せっかくの楽しみを阻害することになるはずです。
100倍などを謳う双眼鏡と比べれば物足りないかもしれませんが、
通常では6倍~8倍くらいの双眼鏡で十二分に楽しめるのです。
最初の出会いがいかに大切であるかということを私は痛感しています。
粗悪な双眼鏡のため、この楽しみを知らずにいることは悲しいことです。
皆様が長くご愛用できる双眼鏡に出会えることを切に願っています。

若干(相当)大袈裟な文章になりましたが、どうぞご容赦下さい。


当社の双眼鏡は、商品一覧ページから宜しければ是非ご覧下さい。